「知られざる鬼才 マリオ・ジャコメッリ展」
1950年代から写真を撮り始め、2000年にその生涯を閉じたイタリアの写真家マリオ・
ジャコメッリは、戦後の写真界を代表する写真家の一人です。しかし、イタリア北東部
のセニガリアで生まれ、ほとんどの作品をその街で撮り続けてきたため、その長い活
動期間と欧米での高い評価に比べると、わが国において知られることの少ない写真家
といえるでしょう。
まとまった展覧会としては日本初となる本展では、「ホスピス」「スカンノ」「若き司祭た
ち」「大地」などの代表作はもちろん、最晩年のシリーズまでも網羅し、構成いたしまし
た。ジャコメッリの作品からは、詩や絵画に近い語法を読み取られるかもしれません。
そのように見えることも、また写真表現が持つ豊かさなのです。強烈なハイコントラスト
で「死」と「生」に立ち向かい、孤高の写真表現でリアルさを抽象したわが国では「写真
界の知られざる巨人」、マリオ・ジャコメッリの世界を是非、この機会にご鑑賞ください
(東京都写真美術館WEBより)。
マリオ・ジャコメッリ展を見てきました。知らない写真家で今回初めてその作品を見ました。強いコントラストで粗い粒子の白黒写真で、植田正治さんを思わせる作品があったり、森山大道のようなスナップがあったりと印象が強く残りました。個人的には「大地」が良かったと思いました。「ホスピス」は、ジャコメッリの母親が勤めて居た関係で小さい頃からホスピスに通っていたそうです。普通ならちょっと撮れない写真でした。「若き司祭たち」は楽しい感じの写真で、演出だと思いますが、若き司祭たちが写真家に協力している様子がうかがえます。
「シュルレアリスムと写真 痙攣する美」
1924年にアンドレ・ブルトンを中心として、活動の開幕が宣言されたシュルレアリスム
は、パリをはじめ世界中に波及し、多様な表現世界を繰り広げました。大戦間に誕生
したこの20世紀最大の芸術運動は、世界的な広がりを見せ、純粋な視覚表現から広
告やファッションといったあらゆる領域にまで浸透し、人々の感性や表現力に革命をも
たらしました。
本展は、写真とシュルレアリスムの関係に注目した国内初の大規模展です。シュルレ
アリスムの全貌を問い直し、「シュルレアリスムとは何か」という問いかけから、「写真と
は何か」という問いかけに繋がる考察の場として、そのユニークな視覚世界を約200点
でご紹介いたします。
シュルレアリスム(超現実主義)とは、単なる空想のなかに存在する非現実の領域を
表そうとしていたのではなく、現実の中に存在する、いわば強度の現実を捉えようとし
たものでした。その意味で写真は、シュルレアリスムという思想にもっとも近い場所に
到達する可能性を秘めたメディアであったといえるでしょう(東京都写真美術館WEBよ
り)。
シュルレアリスムの写真といえばマン・レイとアジェの作品が思い浮かびます。今回は日本の写真家の作品もあります。植田正治さんの作品も展示されていましたが、違和感がありませんでした。鷲田清一さんの本によく作品が使われている植田正治さんは、鳥取からでることなく、鳥取砂丘での作品はいまだに世界中で人気があるそうです。アジェのパリの写真は、人影がなくまるでゴーストタウンのような作品があります。アジェの写真は記録に徹したことがかえってシュルレアリストたちの目にとまり評価されることになったようです。毎日、箱型カメラと三脚を担いでパリを撮していたアジェにとってはシュルレアリスムはどうでもよかったのかもしれません。