「哲学個人授業」 鷲田清一・永江朗
先生役が鷲田さんで、永江さんが生徒役の哲学の個人授業。毎回一人の哲学者と著作を選び、著作のなかから心が震えるような言葉、大見得を切った言葉、ぐっとくる言葉を選ぶ。ここで選ばれている哲学者は、できれば不幸な人生を歩み、不幸な死に方をしたひとを選んでいるそうな。授業は銀座の喫茶店が主な場所だが、この本は関西弁が多い。内田樹さんと江弘毅さんが2回乱入している。
哲学の本は、最初に読んだとき1割わかったら許せるでしょと鷲田さんが言うと、いや1割わかったら簡単過ぎる、金返せと言いたくなると内田樹さんが切り返す。マルクスの回では、女子高生は淫行より援交のほうが楽と言ったことに、かつてマルクスがいった疎外論をうまいこと使って生きとる、疎外論を使って自分を救済しようとしとるという塩梅だ。ようするにここでカラダを売っている私は、本当のワタシではないという論理で、本当のワタシは傷つかないと自分に思い込ませる。ヒュームのところでは、先生が「ものごとに根拠なんかない、すべては人間の作ったものにすぎない」といったのに対して、ある高校生が「先生、そうやって根拠をみんな潰してくれるけど、じゃあそのあとどうやって生きていけばいいのかは教えてくれないんですか?」といったそうだ。
先生役の鷲田さんが、永江さんの発言に驚いたりして、どっちが先生わからないところもあり、それがこの本の魅力にもなっている。対談のかたちをとっているので、読みやすいが中身は濃いと思った。哲学書はわからなくてもよいということにちょっと安心した。
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