Out of place
「遠い場所の記憶 自伝」 E.W.サイード
父の看病の時に、ずっと読んでいたのがサイードの「遠い場所の記憶 自伝」だった。自伝といっても大学生院生までの回想で、中東での生活が中心となっている。
自身が白血病を発病し、母親を癌で亡くした翌年に執筆をしたせいか、父親と母親、とくに父親との関係の遺憾と後悔が見え隠れする。最後に、父親が行ってきたことが自分の将来を見越しての配慮だったと思い至ることで終わっている。サイードはつねに周囲とはなじまず浮き上がってしまう故国喪失者として自身を描いている。
この本を読んで、鶴見俊輔さんとイメージがだぶってしまった。鶴見俊輔さんも問題児で逃げるようにアメリカへ留学をしている。ハーバード大学を20歳で卒業という経歴だけを知っていたときは、僕は成績が良くて留学したものだと思っていた。座談で、日本での学歴は小学校卒ですと自虐的に自己紹介しているのを読んで僕は驚いた。鶴見さんも父親と母親と自分の関係が物の見方に影響していると書かれている。自分のことを悪人というひとはあまりいないだろし、開戦後のアメリカ移民局で調べを受けた時「私はアナキストだからどちらの国も支持しない」と答えて結局逮捕され収容所へ収容されている。
この二人の本を読んでいると、基本的な軸が大きくはぶれていないことに感心する。軸がぶれないひとは返って、周囲が変わっていくために浮き上がってしまい場違いになるような気がする。
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